内視鏡検査体制を強化した理由
人はいつか必ず亡くなります。その死因は多様ですが、近年の死亡原因は悪性新生物(いわゆる「癌(がん)」)が1位です。この「癌(がん)」の中でも発生部位別(男女計)に見ると大腸癌、胃癌、肺癌が上位を占めています。
癌で命を失わない為には、定期的な検査が必要不可欠です。
堀部クリニックでは内視鏡検査体制を強化し、早期治療、早期発見ができるようにしました。
内視鏡検査、どんな検査なの?
内視鏡検査でできること
直接食道や胃、大腸の粘膜を観察するので、形態だけでなく、色調の変化なども加味し疾患の診断を行うことができます。疑わしい所見があれば、その部分の組織を採取し、組織中の細胞を病理医に顕微鏡で観察してもらい、癌などの確定診断を行うことができます。また、大腸カメラでは、20mm程度までであれば、その場でポリープを切除することができます。
検査は痛くないですか?
大腸カメラ時の痛みに関しては、主にスコープによる腸が伸びる痛みと、送気時の腸管が広がる痛みがあります。全く痛みを感じない方から、かなりの痛みを感じる方まで、個人差があります。当院では、送気時に苦痛の少ない内視鏡用の炭酸ガスを使用したり、希望に応じて鎮静剤や鎮痛剤 ※ を使用して検査を行い、なるべく苦痛が少ない検査を目指しています。
※鎮静剤や鎮痛剤の使用時には当日の車の運転は控えていただいています。
堀部クリニックでの特徴
令和元年10月に内視鏡室を新設し、前処置は個室で受けていただけます。検査後に結果の説明や必要に応じて治療を受けていただけます。当院で対応が困難な疾患が見つかれば、治療可能な病院へ紹介させていただきます。
検査機器について
基幹病院などで一般的に使用されているOLYMPUS社製 LUSELA ELLIETを採用しています。
胃カメラは経鼻、経口内視鏡を選択していただけます。
検査を受けるには
外来を受診していただき、経過などを伺い、検査が適当かどうかを判断します。必要と判断した場合には検査の予約を取らせていただきます。
担当先生の紹介
堀部陽平先生
専門は消化器内科(消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、消化器がん検診学会専門医)
先生からのコメント
病気になったり、検査を受けたりするときには様々な不安があると思います。消化器内科では、胃、大腸、膵臓などの癌患者さんも少なくなく、そうした患者さんの不安をなるべく取り除けるように心がけてきました。そのための声がけや、原因や症状を詳しく説明するなど情報を提供することも重要だと思っています。
胃がん、大腸がんの中には、早期発見により少ない負担で治すことができるものが多くあります。多くの患者さんに検査を受けてもらい、この地域からそのような病気を減らしていくことができるように努めたいです。そのために、なるべく楽に検査を受けてもらえるように工夫をしています。
大腸の検査
検査の対象となる人
便潜血陽性 | 便潜血検査で陽性の判定がでた |
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血便・黒色便 | 排便時に、ペーパーに少量の血が付着することや、血便などの出血がある |
長引く下痢 | 下痢をする事が多いか、下痢が持続している |
突然発症の便秘 | 最近、便秘がひどくなった |
便柱狭小化 | 便が細くなった |
大腸がんやポリープの治療後 | 3~5年毎に大腸カメラでの経過観察が推奨 |
検査で発見できる病気
大腸癌 | 大腸にできる癌。ポリープのように小さいものから、大腸の閉塞をきたすような大きなものまでさまざまな段階で見つかります。見つかった段階により治療方針が大きく異なるため、早期発見が重要です。 |
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大腸ポリープ | 腺腫や過形成性ポリープ、炎症性ポリープなど数種類があり、切除が必要なものと、必要でないものがあります。 |
潰瘍性大腸炎 | 異常な免疫反応により、主に大腸粘膜に炎症が起きる病気です。腹痛や下痢、血便の原因になります。 |
クローン病 | 異常な免疫が小腸や大腸も含めた消化管全体に起こる病気です。消化管の炎症により、腸管に潰瘍ができ、腹痛や下痢、血便の原因となります。 |
虚血性大腸炎 | ひどい下痢や便秘など、腸管の蠕動運動が強く起こった時に、一時的に血流が悪くなり、腸の粘膜に炎症が起こる病気です。血便や腹痛が起こります。 |
大腸憩室 | 消化管にできる数ミリのくぼみです。ほとんどは切除など治療する必要はありませんが憩室炎という病気や出血の原因になることがあります。 |
検査目的
先端にCCDカメラを装着した細い管(スコープ)を肛門から挿入し大腸の内側を直接観察し、ポリープやがん、出血、炎症等を見つけます。また、組織検査のための組織の採取、ポリープの切除、出血部位の止血処置なども行うことができます。
大腸内視鏡 検査方法
検査前日
注意点
消化の良いものを摂ってください。夕食は午後9時頃までに済ませて下さい。
検査当日
注意点
・常用薬は7時頃までに内服をして下さい。糖尿病治療薬、抗凝固薬などは中止していただく場合があります。
・前日に下剤を飲んだにもかかわらず排便がない場合にはお申し出ください。
前処理室での準備
腸管洗浄剤を1.5L~2L程度内服していただきます。濁りがなく透明な便になったら前処置は完了です。2~6時間程度かかります。
検査開始
・検査着に着替えていただき検査室へ入っていただきます。
・血圧や脈拍、酸素飽和度の測定をします。
・大腸スコープを挿入していきます。まず大腸の一番奥である盲腸まで挿入して、観察しながらスコープを抜いていきます。ポリープがあれば、この時に切除を行います。
検査終了
・再度血圧などの測定をします。
・トイレで臀部に残ったゼリーなどを落としていただき、検査着を着替えます。
検査結果
・当日に結果を説明します。
・ポリープの切除など、組織の採取をした場合には、1週間後に病理組織の結果説明を受けていただきます。
胃の検査
検査の対象となる人
食道通過障害 | 食べ物を飲み込むときにつかえ感がある |
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心窩部痛 | みぞおちが痛い |
食事の際の痛み | 空腹時や食後など食事に関連して強い痛みがある |
体重減少 | 食欲がなく体重が減少した |
吐血 | |
健診での要精査 | |
ピロリ菌の除菌後 | 過去にピロリ菌を除菌した方 |
検査で発見できる病気
逆流性食道炎 | 胃酸の食道への逆流により、胸やけや心窩部痛が起こります。食生活などの生活習慣の変化やピロリ菌感染の減少で、患者数が増えてきていると言われています。 |
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食道がん | 食道にできるがんです。喫煙・飲酒がリスク因子として知られています。 |
胃炎 | 胃の粘膜の炎症です。多くはピロリ菌の感染によるもので、ピロリ菌感染が胃がんの原因になることが知られています。ピロリ菌を内服薬で除菌することで、胃がんのリスクを下げられます。 |
胃がん | 胃にできるがんです。小さい無症状のものから、通過障害をきたすような大きなものまで様々な段階で発見されます。早期発見できれば胃カメラで治療することもできるので、無症状の小さい段階で発見することが重要です。 |
胃・十二指腸潰瘍 | 胃や十二指腸に潰瘍ができます。ピロリ菌や、痛み止めなどの内服薬、ストレスの影響でできると言われています。痛みがでたり、出血により貧血の原因となったりします。 |
検査目的
鼻もしくは口から内視鏡を挿入し、炎症や潰瘍、ポリープ、がんを見つけます。
胃内視鏡検査(経鼻・経口)
検査前日
注意点
夕食は午後9時頃までに済ませて下さい。
検査当日
注意点
・水分はとっていただけます。水やお茶など透明なものにして、牛乳やコーヒーなどは控えて下さい。
・常用薬は7時頃までに内服をして下さい。糖尿病治療薬、抗凝固薬などは中止していただく場合があります。
前処理室での準備
のどや、鼻の麻酔を行います。
検査開始
・血圧や脈拍、酸素飽和度の測定を行います。
・口からのカメラの場合はマウスピースを装着していただき内視鏡を挿入します。鼻からのカメラの場合には直接鼻腔へ内視鏡を挿入します。。
・食道、十二指腸、胃の順に観察を行います。通常の観察は4分程度です。必要に応じて組織の採取をすることがあります。
検査終了
・再度血圧などの測定を行います。
検査結果
・当日に結果を説明します。
・ピロリ菌の検査が必要と判断され、希望された場合には検査(尿、呼気、血液など)を行います。
・組織の採取をした場合には、1週間後に病理組織の結果説明を受けていただきます。
検査後の注意
口からのカメラ後は、のどに麻酔が残り誤嚥のリスクがありますので、検査後2時間は飲食しないでください。